突如としてSwallowtail*Queenbeeの後任ドラマーとして選ばれた和徳。
混声三部合唱組曲「阿賀野川」20周年プロジェクトに対し、バンドの心臓部分とも言える「ドラマー」としての役割をどう担っているのだろうか?
常に虎視眈眈と何かを狙うような表情から、時折穏やかな笑顔も見せてくれた。(後編)
<前編を読む>
「ROCK」の定義って何を以って「ROCK」と呼ぶのか、かなりグレーゾーンだと思います。
――合唱×ROCK「阿賀野川」のスタジオリハーサルはどのように進められたのですか?
原曲、つまり初演のCDと同時に、バンド用のデモ音源も渡されたんです。
これらはひたすら聴いて、まず構成を覚えることから始めました。
普通の楽曲とは違い、テンポも変わるし、雰囲気もガラッと変わるし…。
それはもう大変でしたね。
ましてや、原曲すら知らなかったわけだし。
感覚的に1曲の中に2~3曲が入っている感じで(笑)。
――「ROCK」ということで、人によっては結構激しいイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか?
僕もそう思います。
でも「ROCK」の定義って何を以って「ROCK」と呼ぶのか、かなりグレーゾーンだと僕は思います。
ポップスだって「ROCK」と言えるだろうし、ヘヴィメタルだって「ROCK」と言う人もいるだろうし。
ただ、今回の合唱×ROCK「阿賀野川」に関しては、そんなに「ROCK」という定義を以って演奏はしなかったですね。
そうすると、アレンジが全然できなくなってしまう恐れが個人的にありましたから。
――ドラムはどのようにアレンジが行われたのですか?
基本的にバンド用のデモ音源を基盤に、忠実に叩いたり、自分が持っているドラマーとしてのネタを試行錯誤しましたよ。
例えば第一曲「阿賀の里」の3/8拍子になるところは、デモ音源だとかなりガチガチなノリだったのですが。
個人的にスウィングしている方が断然オシャレだと感じたので、スウィングのパターンを入れました。
でも、矛盾しているかもしれないけど、一応「ROCK」と言われている以上、一貫してファンクのノリだとか、ジャジーな感じにするとかはしないようにしました。
これについては、トオルさんといろいろ衝突する時もありましたけど(笑)。
元が合唱曲だということで、聴きやすい仕上がりにはなったかなと思います。
第二曲「ふるさとの将軍杉」は、ボサ・ノバ調にしたかったのですが…。
…ダメでした(笑)。
――いろいろ大変だったんですねぇ。先日のレコーディングはいかがでしたか?
時間との兼ね合いもあり、ドラムとベースは一発録りだったのですが…。
さすがにテンポが1曲のうちに何回も変わる楽曲は初めてだったので、うまくいくか多少不安でしたね。
でもまぁ、何とか無事に録り終えたので良かったですよ。
うまくいかないときは、休憩ですね。
コーヒー飲んだり、煙草を吸ったり。
とにかく練習通りのプレイを心掛けます。
そもそも、僕はレコーディングってライブと同じで、メンタルが問われるものだと思っているので。
その点は…、トオルさんはメンタルやられてたかなぁ(笑)。
あ、これインタビューに載せますか?
…トオルさん、すいません。
――無事に終えることができて、とにかくお疲れ様でした。(笑)
では、和徳さんが思う「ドラマー」とは、バンドではどのようなポジションなのでしょうか?
間違いなくバンドの核ですよね。
“和徳はドラマーっぽくないね”とよく言われますが(苦笑)。
僕は「縁の下の力持ち」のポジションが好きなのかな。
ドラムが良いバンドは「良いバンド」と言われているけど、その分自分にかかるプレッシャーはいつも大きいですよね。
だけど、今でも自分をうまいとは全然思わないですし、自分よりうまいドラマーは年齢関係なく、星の数ほどいますからね。
ただ高速に叩けたり、超絶なテクニックがあれば「うまいドラマー」という訳ではないし。
僕が凄いと思うのはもちろん、超絶テクニックのドラマーとかだけど…。
ん~…、最低限の技術は持つべきだけど、やはり自分ならではの「グルーヴ」だったり「叩き方」、それにともない「音」であったり…。
まぁ「強い個性」なんでしょうかね。
僕は全然まだまだ未熟なので日々精進です。
自分で「うまい」と思ったら終わりですよ。
…ただ自信を持つのは別ですよ!
――結構ストイックですねぇ。
まだまだ合唱×ROCK「阿賀野川」のプロジェクトは続きますが、現段階で何を感じていますか?
ん~~~…。
(10秒沈黙)
とにかく、自分の音楽人生の中において、間違いなく強い印象を残すプロジェクトになりますねぇ。
音楽って本当に素晴らしいもので、音だけでも人を魅了して…。
それに言葉が乗っかるとさらに人を感動させることができる。
それを与える立場でもある僕たち演奏者って、何気に凄い位置にいるんだなって思いました。
CDのリリースとともに、皆さんの前で演奏できる日が待ち遠しいですね。
――では最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
はい。
音楽って万国共通です。
原曲の合唱曲も万国共通、バンドアレンジされた合唱曲も万国共通。
この作品は地元の方々の恥にならないような作品になると思っています。
「ROCK」だから「うるさい」というナンセンスな考えは持たないでいただいて、この合唱×ROCK「阿賀野川」を聴いてもらえたら嬉しいです。
少しでも、町が活発になればと、心からそう思っています。
皆さんの前で演奏できる日を心待ちにしています。
和徳
1981年生まれ
新潟県新潟市中央区出身
Swallowtail*Queenbee ドラム担当
その他、サポートドラマーとして活動中
影響を受けた音楽はQueen、Red Hot Chili Peppers、Jamiroquai等と多彩