2013年11月30日土曜日

「ミナガワトオル インタビュー Vol.2」

CD「阿賀野川」をリリースし、活動の幅を拡げたSwallowtail*Queenbee。
去る10月20日三川中学校にて、まさに自身の“凱旋”ライブを果たした
リーダー ミナガワトオルにインタビューを行った。



「阿賀野川」はボクらをいろんなところに連れてってくれた


――CD「阿賀野川」の発表から約1年半が経過しました。

早いですね。
実際、2010年の秋からこの“合唱×ROCK「阿賀野川」プロジェクト”が具体的に始まってるので、
活動としては…3年!?(驚)
ボクらがレコーディングしてる時中学1年生だった子も、もうすぐ卒業なんですね~(笑)。


――CD発売後、周りの反応などはいかがですか?

合唱曲をバンドで演奏するのはとても珍しいことなので、
ライブではじめて聴く人は最初「キョトン」としてますかね(笑)。
でも、合唱組曲「阿賀野川」を知っている人はもちろん、全く知らなかったという人も
詩の内容や村の自然・歴史・文化に感動してくださってて…。
例えば、2004年の三条市7.13水害を体験された方がおっしゃっていましたが、
やっぱり第三曲「羽越大災害」は決して他人事には感じないそうですよ。
組曲「阿賀野川」をたくさんの人に聴いてもらえるきっかけになって良かったです!


――ミナガワさんが印象に残っているライブはありますか?
BEST3を挙げてください(笑)。

いきなり!?(笑)
うーん、どれも印象に残ってて3つに絞るのは難しいけど…。
じゃあまず第3位から…。

3位は、今年6月の「にいつ花ふるフェスタ」です。
これは過去最多のお客さんの前で演奏したということで印象に残ってます。
1,000人前後のお客さんがいたと言われていますね。
というのも、この日は落合みつをさんやNegiccoさんがメインのステージだったので、
そのファンの方々にも「ふるさとの将軍杉」を紹介できて良かったです。




続いて、2位!
昨年8月の「遊和祭2012」です。
ボクの地元阿賀町で開催された野外フェスの第1回目ですね。
「阿賀野川」を全5曲演奏したんですが、3曲目前のMCで泣いてしまうという(笑)。
いや~、羽越水害のこととか、CDを発表できた達成感とか。
地元で聴いてもらえる喜びとかね、込み上げるものがありました。
ボクは遊和祭実行委員会としても関わっていたので、ホントにいろんな想いが詰まったライブとなりました。




そして1位は、やっぱり先日の「合唱組曲『阿賀野川』を歌いつぐ会」です。
ボク個人としても、母校でライブを演らせてもらえるなんて光栄なことですし、
20年以上続く伝統的な学校行事にバンドとして参加できたのは嬉しかった!




――「歌いつぐ会」でのライブについて詳しく聞いていきたいのですが。
まず、三川中学校の校歌をカヴァーしてましたよね!

うん、サプライズで。
先生から出演のお話しをいただいた時に、もう企んでました(笑)。
部活動中の吹奏楽部の生徒さんを捕まえて、校歌を歌ってもらってね。
…あの時はきっと、なんで歌わされてるか不思議だったでしょうね(笑)。
その録音したやつを、メンバーにも聴かせてアレンジしました。


――どうして校歌を?

バンドメンバー内に三川中の卒業生ってボクだけでしょ。
だから「Swallowtail*Queenbee」というよりは「皆川先輩とゆかいな仲間たち(笑)」みたいな印象を受けるはずなんですよ。
でも、そうは観てほしくなかったんですよね。
「阿賀野川」と同様に生徒たちに馴染み深いもの、つまり校歌を演ることによって、一発で彼らの懐に飛び込めたと思います。
ボク以外のメンバーが知るはずのない三川中学校校歌を演奏してたから、きっと親近感も沸いたでしょうね。


――みなさん手拍子で盛り上げてくれましたね!

ほぼ全曲に手拍子、あれはすごかったな~。
後日、全校生徒からライブの感想文が届いたんです。
「~~の曲が良かったです」とか「元気をもらいました」とか。
ホントに嬉しい言葉がたくさん書いてあって…、こっちが元気もらうわー!ってね(笑)。
たぶん三川中にこんなバンドが来てライブをやるなんて、長い歴史の中でもボクらが初めてだったんじゃないでしょうか。
あたたかく迎えてくださった先生方をはじめ、卒業生や合唱団、地域の方々にも、楽しんでいただけたようでなによりです。
あ、卒業生から「校歌のCDは作らないの?」と問い合わせが多数ありましたが、今のところそれはありません(笑)。


――ライブの後は合唱発表にもメンバー全員参加されましたね。

はい。
今年で22回を数える「歌いつぐ会」なんですが、年々生徒数の減少により、生徒たちだけで歌っていくのは困難な状況になってきてます。
ボクが中学の時は、全校生徒で110人前後くらいだったと思います。
今年は62名(20年前の約半分)だそうです。
そのうち女子生徒はたった20名!
今年度から新しい試みとして、卒業生や地元の方々からも募集し、地域全体を巻き込んだ取組みにしていく、
という背景があったんです。
で、せっかくここまで「阿賀野川」に関わらせてもらってるので、ぜひメンバー全員で合唱にも参加しよう!
となりました。


――みなさん合唱の練習はされたのですか?

ボクは、ホントに20年ぶりの合唱でした。
声の出し方をすっかり忘れてましたね(笑)。
でも車の運転中に発声やったり、中学校での合同練習に通ったりして、なんとかカンを取り戻した。
メンバーにはパートごとに分かれてボクがレッスンまでしましたよ、カラオケシダックスで!(笑)
生徒や合唱団のみなさんと一緒に「阿賀野川」を合唱できたことは、一生忘れないだろうなぁ。
できたら来年もまた合唱に参加したいと思ってます!


――あらためて今、「阿賀野川」に何を想いますか?

そうですね~。
ここ2~3年で新しい出会いや懐かしい再会もあったし、貴重な体験をたくさんさせていただきました。
CD「阿賀野川」はボクらをいろんなところに連れてってくれました。
“合唱×ROCK”のプロジェクトを通して、たくさん宝物を得たような感じがします。
あらためて「感謝」ですね~。
協力してくださった関係者の皆さん、応援してくれてるファンの皆さんひとりひとりに「ありがとう」を言いたいです。
そして、“歌い継ぐ”ことの大切さをあらためて感じてますね。
ひとつの村の物語を歌にして、先輩から後輩へ、親から子へ、そして孫へ。
ふるさとを愛する心とか、逞しく生きていく強さだったりとか、そういったものを「阿賀野川」は教えてくれます。
これはこの先も絶やすことなく、50年、100年…と受け継がれていってほしいですね。


――なるほど。
では最後に、今後のSwallowtail*Queenbeeの活動を教えてください。

今、新曲作ってます!
しばらくじっくりと制作はできてなかったので、久しぶりの感覚で楽しいです。
阿賀町では、意外とSwallowtail*Queenbeeのオリジナル曲も評判が良かったので、
新曲が完成したらまたみなさんに聴いてもらいたいですね。





ミナガワトオル(本名:皆川 徹)
1978年生まれ
新潟県東蒲原郡阿賀町(旧三川村)出身
平成5年度三川中学校卒業生
Swallowtail*Queenbee ベース担当、リーダー