2012年8月9日木曜日

「神田 富美子インタビュー」

合唱組曲「阿賀野川」は、平成3年の初演発表会から三川中学校の生徒らによって、長きに渡り歌い継がれてきた。
それはまさに「先輩から後輩へ」と、20年分の伝統を積み重ねてきた、いわば歴史そのもの、財産である。
ともに学び、ともに歌い、お互いの成長を競い合って中学校生活3年間を過ごした彼らの共通言語は、今でも「阿賀野川」なのだ。
平成3年度から現在に至るまで、卒業生のインタビューをシリーズで掲載する。




――まずは初めて歌うことになった時、いかがでしたか?

私はとーるBOY(ミナガワトオル氏)と同級生で、中学校1年生の時に「阿賀野川」のことを知りました。
なんか、“三川中学校がすごいプロジェクトをするんだな”っていう…。
“(初演公演の)CDを作って全国に販売するなんて、三川中スゴイぞ!”
っていう感じでしたね。
でもその時は、2、3年生の先輩が初演発表会をやってCDを作ってたから、私たちにはあまり関わりのないことなのかなって思ってました。
CDの歌詞カードには私たちの写真も載せてほしかったけどね(笑)!


――ははは(笑)。では、授業の思い出などは?

あのね、授業と授業の間の10分休みってあるじゃないですか。
そんな時まで、“早く集まって発声練習をしろー!”って言われてやった思い出がありますね。
昼休みももちろんなんだけど、そこまでして合唱に力を入れてたんだなぁ、という印象でした。
あと、濁音の発声練習方法がちょっと変わってて…。
例えば、「がぎぐげご」とかの濁音の前に必ず「ン」を入れるんですけど。
「母なる~阿ン賀野ン川は~ 悠々となンがれる~♪」みたいな(笑)。
そうすると濁音が汚らしく乱暴に聴こえないんです。


――ちなみに、ミナガワトオル氏の少年時代ってどんなでした?

とーるBOYはね、他の生徒たちより、特にこの「阿賀野川」に関しては真面目でね。
…あんまり言いたくないんだけど…(笑)。
進んで声を出してたり、先生の話も良く聴いて。
人一倍真面目に取り組んでたなぁって思います。
当時はほとんどの人が「歌わされている」って感覚だったでしょうけど、
とーるBOYの場合は、ホントに好きだったんでしょうね(笑)。
そんなオーラがすごい出てました。


――当時からやっぱりそうだったんですか、あの人(笑)!

合唱の発表会なんかでも、観に来てる人達はみんな目が行くみたいで(笑)。
“前列のあの子、身体揺らして大きな口開けて歌ってるね~”って。
そういう声はチラホラ何回も聞いてました。
確かに先生から、“口を大きく開けて、表情豊かに、全身で歌うように”と指導もされてましたから、
みんなそれぞれ自分なりに身体を揺らしながら歌ってた感じでしたけど。
その中でも特にとーるBOYは目立ってました。


《 合唱組曲「阿賀野川」の楽譜と初演発表会のCD 》
楽譜にはびっしりと事細かなメモが記されている。


――20年間歌われていることについてはいかがですか?

20年間歌い継がれてるっていうことはスゴイことですね。
去年の文化祭なんですけど、久しぶりに聴きに行きました。
自分が歌ってた時と違い、今は母親として聴く立場になって、あらためて「阿賀野川」の素晴らしさを発見した気がします。
昭和42年の羽越水害では子供も亡くなってますよね。
その亡くなった子供の親の気持ちも、昔は「歌わされている」だけだったけど、今ならわかるなぁって思います。
怖いなぁって…。
涙が出てきますね。
特に「羽越大災害」、「悲歌」…。
「悲歌」ってすごく悲しい歌ですけど、「光にむかって」では前向きになる歌で。
それを聴くと、すごく泣けてきますね~!
20年前に歌ってた時と、今こうして聴いてる時の気持ちは、やっぱり違いますね。


――あなたにとって阿賀野川とは?

去年水害があって、あんなに荒れ狂う阿賀野川を見たのは初めてでした。
幸い死者はでなかったものの、地域によっては床上浸水になったりして大変で…。
阿賀野川は羽越水害の時もそうですし、このように災害をもたらしますけど、
やっぱり私は三川が好きなので「ふるさと」ですかね。
私、高校卒業後は町外へ出たんですが、しょっちゅう三川へ帰ってきてました。
49号線に入って、阿賀野川沿いを車で走ってるとなんだか安心するんです。
だから阿賀野川とともにあるこの三川に、ずっといたいなぁと思ってます。


――最後に、合唱×ROCK「阿賀野川」プロジェクトのメンバーに向けてメッセージをお願いします。
神田さんたちが中学時代に歌ってた「阿賀野川」のことは、ミナガワ氏以外のメンバーは知らないわけですが。


あっ、でも、みなさんこのプロジェクトを通してすごく好きになってくれた、という話をとーるBOYから聞きました。
地元人としてはとても嬉しいことですね。
とーるBOYは同級生でもあるので、誇らしいです!
もっと有名になってもらって、“この人私の同級生なんだよー”って自慢したいですね(笑)。
メンバーのみなさんも、これからも頑張ってもらいたいと思います。



神田 富美子
1978年生まれ
新潟県東蒲原郡阿賀町(旧三川村)出身
平成5年度三川中学校卒業生
パート:ソプラノ
介護施設勤務