合唱×ROCK「阿賀野川」を編曲するにあたり、リーダーミナガワトオルには当初からどうしても譲れないこだわりがあった。
第五曲「光にむかって」に、中国の伝統楽器「二胡」の音色を入れることだ。
新潟県内では、二胡奏者は大変希少である。
レコーディングを終えたばかりの彼女に、誘われた経緯から「阿賀野川」について伺う。
短い8小節だけに自分のテンションを全部詰め込みました。
——このプロジェクトに参加することになった経緯を教えてください。
ある時、燕市内で二胡の演奏をしていました。
その様子が会報に掲載され、それをご覧になったある方が、私にお電話をくださったんです。
“町興しで、合唱組曲「阿賀野川」をロック調にカヴァーしているバンドがいる”ということ。
そして“そのCDに二胡の音を入れたいので、いかがですか?”というお話でした。
その方の紹介で後日Saeさんと直接お会いし、詳しい内容を聞きました。
——なるほど、そういった繋がりがあったんですね。
Saeさんとはどのようなお話をされたのですか?
そうですね、合唱組曲「阿賀野川」や、今回のプロジェクトの詳しい内容について。
そして、レコーディングの日程などについてですね。
二胡は出せる音域が限られているので、楽譜を見ながら実際に演奏できるものか確認もしました。
私とSaeさん、それぞれの音楽活動についてもいろいろお話しましたね〜。
——今日レコーディングを終えてみて、いかがでしたか?
はい。
私はレコーディングというものがが初めてで…。
昨日までちょっと…眠れなかったというか…(笑)。
“どうなるかなぁ”って少し不安もありました。
二胡は、正しい音程をピンポイントで押さえる事が難しくって…。
私は未熟でまだ上手くできないので、ちょっと心配でした。
あと、ヘッドホンで音を聴きながら弾くことが一番不安でしたね、普段ではしないことなので。
でも実際レコーディングしてみると、ヘッドホンから聴こえてくる音がボリュームも大きくて、クリアでした。
なので演奏する手元の方は、力を入れなくても楽に音を出せたような気がしました。
——なにやら、演奏する箇所が突然増えたとかお聞きしましたが(笑)。
はい、そうですね(笑)。
ビックリしました(笑)。
当初、Saeさんから“ココを弾いてください”と、デモ音源と楽譜を渡されたんです。
それが、第五曲「光にむかって」のイントロの8小節だけだったんですけど。
今日来てみたら“ココも弾いてもらえますか”って(笑)。
新しく追加になったところは、“こんな感じのフレージングで”って言われたんですけど、イメージを持っていくのが大変でした(笑)。
でも、あまりこう…他の楽器の音の邪魔をしないように、かつキレイなメロディーでできたと思います。
ミナガワさんにも助けてもらいながら(笑)。
——イントロの方はいかがでしたか?
イントロは8小節という短いものでした。
普段弾いてる曲はもっと長いから、だんだんノリが出てくるんですけど。
8小節だとノッてくる前に、“ここで終わり”っていう(笑)。
なので、その短い8小節だけに自分のテンションを全部詰め込みました。
——合唱組曲「阿賀野川」については?
今回プロジェクトに参加させていただくにあたって、初演のCDをお借りして聴いてみました。
ものすごい感動と、何て言うか…胸が絞めつけられる想いもして、当時の水害の悲惨さが一目瞭然という感じで伝わってきました。
でも最後には「光にむかって」っていう曲で締めくくられていて…。
ものすごい楽曲だと感じました。
この歌が20年も歌い継がれているということにも驚きました。
町の取り組みとしてもすごい頑張っていらっしゃるんだろうなぁ、と。
これだけでも十分町興しになっているのに、更に歌い継ぐ新しいカタチとして「合唱×ROCK」を提案するプロジェクトに、大変感動しました。
中学生や合唱団の方たちが、ずーっとこれからも絶やさず歌い継ぐっていう熱意も伝わってきました。
ぜひ、燕市にも来て歌っていただきたいです。
特に中学生の子供たちに聴いてもらいたいですね〜。
私も、今度演奏会があったら聴きに行きたいと思いますので(ミナガワさん、)情報待ってます(笑)。
——読者に向けて一言お願いします。
阿賀町にこういう素晴らしい歌があり、しかも組曲になっていて、20年もの間歌い継がれていることは、たくさんの人に知ってもらいたいです。
そして、一人でも多くの方たちにこのプロジェクトのことも知ってもらえたらいいですね。
CDが完成したらぜひ手に取って聴いてもらい、歌の内容やいろんな感情の表現を感じ取っていただきたいですね。
江辺 玲子
1968年生まれ
燕市(旧吉田町)出身
音楽教室、二胡教室を開く傍ら、コンサートなど演奏活動や、カルチャースクールの指導にあたる